相続登記の義務化とは何か

これまで特定の不動産を相続したとしても、その名義変更の登記は必ずしも義務ではありませんでした。このため未登記のまま放置された土地や建物が全国各地で増加し、社会問題にまで発展してしまいます。例えば私人間の取引では、相続不動産を売却したくても出来ない、不動産を担保にして金融機関から融資を受けることが不可能になる等、このようなケースが典型的。また相続登記を長らく放置したが故に相続人が増えてしまい、権利関係の複雑化や相続人自身の高齢化によって、遺産分割協議もままならない状況に陥ることも少なくありませんでした。

その上、相続手続きに必要な書類を集めようとしても、時効や紛失等によって、目的を果たせなくなるケースも。さらに最悪なのが、見知らぬ第三者に先に登記されてしまい、相続持ち分を勝手に売却されて、本来の相続人が受けるべき所有権を失ってしまうことです。未登記の不動産を放置した結果、国や自治体といった公共セクターにも、深刻な影響を及ぼすケースも見られます。すなわち公共用地の買収や防災対策の工事などが進まないために、結果的に国民や市民の利益を損なうことになるからです。

このような相続登記をしないまま放置された不動産の問題を解消すべく、国は法改正をして、2024年度から相続登記の義務化を決定します。この法改正の大きな特徴といえば、義務化にともなって、期限と罰則が規定されたことでしょう。すなわち相続不動産の所有を認識した日から3年以内に登記を済ませないと、10万円以下の過料を受ける可能性があります。これは改正前の相続不動産も対象になるため、未登記の相続不動産を所有している人は、義務化に向けて早急に対応策を検討することが求められます。

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